サッカーの試合を見ていると、フィールドの外で旗を持って走る人や、ベンチ付近でボードを掲げる人がいます。
「副審って何してるの?」「第4の審判員って必要?」と感じる人も多いはずです。
この記事では、主審・副審・第4の審判員・VARの役割を、25年以上指導してきたコーチの視点でわかりやすく解説します。
審判の動きが分かると、試合の見え方が一気に変わります。
サッカーの審判は何人いる?
通常のサッカーの試合では、審判は4人体制で行われます。
| 審判の種類 | 人数 | 配置場所 |
|---|---|---|
| 主審(レフェリー) | 1人 | フィールド内 |
| 副審(アシスタントレフェリー) | 2人 | タッチライン沿い |
| 第4の審判員 | 1人 | ベンチ側のタッチライン中央 |
さらに大きな大会では、VARも加わります。(出典:IFAB競技規則 Laws of the Game 第5・6条)
ジュニアサッカーでは、主審1人だけで行われる試合も多くあります。審判の数が少ない分、選手自身が正直にプレーすることが求められます。私が担当するスポ少の試合でも、子どもたちには「審判がいなくても正しくプレーする」という考え方を伝えています。
主審(レフェリー)の役割
主審はフィールド内を動きながら、試合全体を管理する最終責任者です。(出典:IFAB競技規則 Laws of the Game 第5条)
主な役割:
- 競技規則を施行し、すべての判定を最終決定する
- ファウルの種類(不注意・無謀・過剰な力)を判断する
- イエローカード・レッドカードを提示する
- アディショナルタイムを決める
- 負傷した選手への対応を判断する
- プレーを停止・再開する
主審はフィールド内を対角線を意識して動き回り、常にプレーの近くでジャッジできるポジションを取ります。
主審は試合の最終決定者であり、その判定に法的責任を持つのも主審だけです。試合中に主審と話せるのは原則としてキャプテンのみ。他の選手が集団で囲んで抗議するとイエローカードの対象になります。
副審(アシスタントレフェリー)の役割
副審は2人いて、それぞれタッチラインの外側に立ち、旗を使って主審に情報を伝えます。(出典:IFAB競技規則 Laws of the Game 第6条)
主な役割:
- オフサイドの判定(旗を上げてシグナルを送る)
- ボールがラインを越えた際のスローイン・ゴールキック・コーナーキックの判定
- 主審の死角で起きた反則の通知
- 選手交代のサポート
- PK時のGKがゴールラインを守っているかの確認
副審は常にオフサイドラインを把握するため、最終ラインの選手と同じ高さを保ちながら走り続けます。
旗を真っすぐ上げればオフサイド、横向きに差し出せばスローインやコーナーキック・ゴールキックの方向を示しています。副審の旗の動きを見るだけで、何の判定が出たかが分かるようになります。
第4の審判員の役割
第4の審判員はベンチ側のタッチライン中央付近に立ち、主にベンチ周辺の管理を担当します。(出典:IFAB競技規則 Laws of the Game 第6条)
主な役割:
- 選手交代の手続き管理
- アディショナルタイムの電光ボードによる表示
- 交代で退く選手の確認
- ベンチの監督・スタッフの行動管理
- 主審・副審が職務続行不可能になった場合の代替
試合終盤に「+3」「+5」といった数字が書かれたボードを掲げているのが第4の審判員です。その数字がアディショナルタイムの目安となります。
・アディショナルタイムが何分になるのかの決まり方については、こちらの記事で詳しくまとめています。
・アディショナルタイムが何分になるのかについてもまとめていますので、試合時間を解説した記事も合わせてご覧ください。
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の役割
VARは映像を確認しながら主審をサポートする審判員です。フィールドにはいませんが、専用の映像確認室で試合を見ています。(出典:IFAB競技規則 Laws of the Game 第6条)
VARが介入できる4つの場面
VARはすべての判定を確認するわけではありません。介入できるのは以下の4つの場面に限られます。
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| ゴールの判定 | ゴールに関わる反則(ハンドなど) |
| PKの判定 | PK判定の正確性 |
| 退場の判定 | レッドカードに関わる場面 |
| 人違いの警告・退場 | 誰にカードを出したかの確認 |
VARの哲学は「最小限の介入で、最大限の利益を得る」こと。すべての判定に介入するのではなく、「はっきりとした、明白な間違い」があった場合に限り介入します。(出典:IFAB競技規則 Laws of the Game 第6条)
W杯2026から介入範囲が広がった
W杯2026からは、VARの介入範囲がさらに拡大されました。
- 明らかに誤った2枚目のイエローカードによる退場
- 人違いで出されたカード
- 誤って与えられたコーナーキックの判定
VARの詳しい仕組みと介入する場面についてはVARとは?初心者が迷いやすい4つの場面をやさしく解説で詳しく説明しています。
審判はなぜ間違えることがあるのか
試合を見ていると「あの判定はおかしい」と感じることがあります。なぜ審判は間違えるのでしょうか。
理由はいくつかあります。
- スピードの問題:プロの試合ではボールと選手が猛スピードで動く。人間の目には判断が難しい場面も多い
- 角度の問題:主審がプレーと逆の位置にいると、正確に見えない場合がある
- 一瞬の判断:審判はプレーが起きた瞬間に判断しなければならない
指導者として試合に関わってきた25年間で、審判の判定に納得できない場面は何度もありました。しかし、一番大切なのは「その判定をどう受け入れて次にいくか」だと思っています。審判も人間です。完璧な判定は存在しないことを前提に、試合を楽しむことが大切だと感じています。
審判の資格のしくみ
審判にも資格があります。日本サッカー協会(JFA)が認定する「サッカー公認審判員」は4級から1級に分かれています。(出典:JFA公式サイト)
| 級 | 担当できる試合 |
|---|---|
| 4級 | 市区郡町村傘下の試合 |
| 3級 | 都道府県協会主催の試合 |
| 2級 | 地域協会主催の試合 |
| 1級 | JFA主催の公式試合(Jリーグなど) |
さらに国際試合ではFIFAが指名した国際審判員のみが笛を吹くことができます。
スポ少の試合では、保護者の方が4級審判を取得して協力してくださることがあります。審判を経験すると、プレーの難しさと審判の判定の難しさの両方が分かるようになります。子どもたちの試合をより深く理解するために、審判資格を取ることはおすすめの経験です。
審判に関するよくある質問(FAQ)
副審の旗の上げ方の意味は?
真っすぐ上に旗を上げる→オフサイド。横に向けて差し出す→スローイン・コーナーキック・ゴールキックの方向を示す。斜め上に上げる→ファウルによる退場のシグナルなど、場面によって異なります。
VARはなぜすぐに判定しないの?
映像を複数角度から確認するため、時間がかかります。また「はっきりとした間違い」がなければ介入しない方針のため、微妙な判定はそのままになることもあります。
審判にカードは出る?
選手・監督・コーチへはカードが出ます。審判自身へのカードは原則ありません。ただし審判も上位機関による評価の対象になります。
ジュニアの試合の審判は?
多くのジュニアの試合は主審1人、または主審と副審1人ずつで行われます。VARはありません。低学年の試合では、トラブルを避けるためにカードを使わず口頭で対応することも多いです。
主審と副審が意見を分かれたらどうなる?
最終決定権は主審にあります。副審はあくまで補助的な役割で、主審に情報を伝える存在です。ただしVARがある試合では、映像確認の結果が判定に影響することがあります。
まとめ:審判の役割を知ると試合が深く見える
サッカーの審判は主審・副審(2人)・第4の審判員の4人体制が基本です。大きな大会ではVARも加わります。それぞれが役割を分担し、1つのチームとして試合を管理しています。
審判の役割を知ることで、旗を上げた意味・笛を吹いた理由・VARが入った場面の意味が分かるようになります。試合をより深く、より楽しめるようになります。
25年以上指導してきて感じるのは、審判の判定に文句を言う前に「自分たちのプレーを見直す」方がずっと大切だということです。審判がいるからフェアな試合ができる。そのことへの敬意も、サッカーを楽しむ大切な要素のひとつです。
次の試合観戦では、選手だけでなく審判の動きにも注目してみてください。4人がどう連携して試合を動かしているかが見えてくると、サッカーはさらに面白くなります。
