「試合終わりそうなのに、なんでまだ続いてるの?」
「ロスタイムって何分あるの?」
「延長戦とPK戦って何が違うの?」
お子さんのサッカー観戦や、W杯・Jリーグを見始めたばかりの方が最初に戸惑うのが、試合時間のルールです。
この記事では、サッカーの試合時間に関する基本ルールを、25年以上の指導経験を持つ現役コーチがやさしく解説します。読み終えれば、試合終盤の駆け引きが見えるようになります。
サッカーの試合が90分の理由
90分ルールが生まれた歴史|19世紀イギリス
サッカーの試合時間が90分に定められたのは、19世紀のイギリスがきっかけです。
1866年、ロンドンとシェフィールドのクラブが対戦する際に「90分でどうか」と合意したことが起源とされています。科学的な根拠があったわけではなく、当時の選手たちの経験則から生まれたルールが、そのまま世界標準になりました。
現在はFIFA(国際サッカー連盟)の競技規則(Laws of the Game)で、試合時間は90分(前後半各45分)と定められています。
前半45分、後半45分に分かれている理由
| 時間 | 内容 | |
|---|---|---|
| 前半 | 45分 | キックオフから前半終了まで |
| ハーフタイム | 最大15分 | 休憩・監督の指示 |
| 後半 | 45分 | キックオフから試合終了まで |
前半と後半でコートの攻める方向が入れ替わります。風向きや太陽の位置などの影響を公平にするためです。
指導者として感じることがあります。ジュニア年代(小学生)の試合は多くの大会で20〜25分ハーフで行われます。大人の45分と比べて短いのは、子どもの集中力や体力の限界を考慮しているためです。実際に現場で見ていると、20分を超えたあたりから子どもたちの動きが変わってくる。45分という時間は、大人の身体と集中力に合わせて設計された数字なのだと実感します。
ロスタイム(アディショナルタイム)のしくみ
試合中、次のような場面では試合が一時中断します。
- 選手の負傷・治療
- 選手交代
- ゴール後の歓喜や抗議による中断
- VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)による確認
この止まった時間を補うために、前後半それぞれの終わりに追加されるのがロスタイムです。正式名称はアディショナルタイムといいます。
何分追加されるかは主審が判断する
ロスタイムの長さは主審が判断します。電光掲示板で「+3」のように表示されますが、これはあくまで目安です。表示された時間が来ても、プレーが続いている場合は笛が鳴りません。
守備側がボールを外に出して時間を稼ごうとする場面、攻撃側が必死に攻め続ける場面。このロスタイムの駆け引きが、試合終盤の大きな見どころです。
ロスタイムは”集中が切れた瞬間”にドラマが起きる
25年以上指導してきて感じることがあります。サッカーは集中力が切れた瞬間にドラマが起きやすいスポーツです。
前半終了間際、後半終了間際、ロスタイム。人間の集中力が途切れやすいタイミングで試合が動くことが多い。子どもたちに「最後まで集中しろ」と声をかけ続けるのは、指導者なら誰でも経験することです。
2018年ロシアW杯・日本対ベルギー戦、いわゆる「ロストフの悲劇」はその典型例です。日本が2点リードから後半アディショナルタイムに逆転を許したあの場面は、コーナーキックを蹴ってからわずか数十秒の出来事でした。試合時間のルールを知っているからこそ、あの場面の重さが伝わります。
VARのしくみについてはVARとは?初心者が迷いやすい4つの場面をやさしく解説で詳しく紹介しています。
延長戦のルールとしくみ
延長戦はすべての試合で行われるわけではありません。リーグ戦(Jリーグなど)では引き分けのままで試合が終わります。延長戦があるのは、W杯の決勝トーナメントのように「必ず勝敗を決めなければならない」トーナメント形式の試合だけです。
延長戦は前半15分・後半15分の計30分で行われます。各15分にもアディショナルタイムがあり、延長戦でも決着がつかない場合はPK戦へ進みます。延長後半は選手の体力が限界に近い状態での戦いです。ここでの集中力と判断力の差が、勝敗を大きく左右します。
PK戦のルールと見どころについてはPK(ペナルティキック)とは?意味・ルール・成功率をやさしく解説をご覧ください。
試合時間に関するよくある質問(FAQ)
ハーフタイムは必ず15分?
原則15分ですが、大会規定やテレビ放送の都合で多少変わることがあります。FIFAの競技規則では「15分を超えてはならない」と定められています。
なぜ後半のロスタイムが長くなるの?
後半の方が選手交代やVAR確認が多くなる傾向があるためです。また、得点差がある場合に時間を稼ぐ行為が増えることも理由のひとつです。W杯2026からは時間稼ぎへの新ルールも導入されました。
なぜサッカーは時計を止めないの?
サッカーは原則として競技時計を止めません。試合の流れを途切れさせずに進めるというサッカー独自の考え方が基本にあります。バスケットボールやアメリカンフットボールとは異なる点です。
ロスタイムは最大何分まであるの?
明確な上限は定められていません。中断が多い試合では10分を超えることもあります。W杯2026では時間稼ぎへの対策ルールが導入されたため、正確なロスタイムが計測されやすくなっています。
延長戦でも選手交代はできる?
できます。ただし、90分の試合で使える交代枠(最大5人)の残り枠が引き継がれます。延長戦に入る前に交代のタイミングを見極めることも、監督の重要な判断のひとつです。
まとめ:90分の意味を知ることがサッカー理解の第一歩
サッカーの試合時間は90分。しかしロスタイムや延長戦まで含めると、時間のルールは思った以上に奥深いものです。
- 90分は19世紀イギリスの経験則から生まれたルール
- ロスタイムは止まった時間を補うもので、長さは主審が判断する
- 延長戦はトーナメントの試合だけに行われる
- 集中が切れた瞬間にドラマが起きやすいのが試合終盤
次の観戦では、ぜひ時計とロスタイムの表示に注目してみてください。残り時間と得点差によって、両チームの動きが大きく変わることに気づくはずです。
90分という時間を知ることが、サッカーを楽しむ第一歩になります。
