サッカーのスローインとは?基本ルール・よくある反則・W杯新ルールまで現役コーチがやさしく解説【初心者・観戦初心者向け】

「スローインってただ投げるだけじゃないの?」

「子どもがファウルスローを取られてたけど、何が悪かったの?」

「W杯で審判が手を上げてカウントしてたのはスローインのルールが変わったから?」

試合を見ていてよく目にするのに、意外とルールを知らないのがスローインです。実は正しく投げなければ反則になり、2026年からは時間制限まで加わりました。この記事では、スローインの基本ルールから反則の種類、W杯2026の新ルールまで、25年以上の指導経験を持つ現役コーチがわかりやすく解説します。読み終える頃には、スローインの場面で審判の動きや選手の判断の意味が自然と見えるようになります。


スローインとは?

スローインとは、ボールがタッチライン(コート全体の長辺のライン)を完全に越えてフィールドの外に出た際に、プレーを再開する方法のことです。

最後にボールに触れた選手の相手チームの選手が、ボールが出た地点から両手でコート内に投げ入れます。(出典:IFAB競技規則 Laws of the Game 第15条)

スローインは1試合の中で最も多く発生するリスタートのひとつです。地味に見えますが、素早く正確に投げることで攻撃のチャンスを作れる重要なプレーです。

指導現場で感じるのは、スローインの上手いチームは試合のテンポが上がるということです。子どもたちには「ボールが出たらすぐに動く」「次のプレーを決めてから投げる」を口を酸っぱくして伝えています。


スローインの基本ルール|5つの条件

スローインには正しく投げるための5つの条件があります。これを守らないと「ファウルスロー」として相手ボールになります。(出典:IFAB競技規則 Laws of the Game 第15条)

① 両手でボールを持つ

片手で投げると反則です。両手でボールをしっかり持ち、投げる瞬間まで両手を添えていなければなりません。

② 頭の後ろからボールを持ってくる

ボールは必ず頭の後ろ(後頭部の後ろ)から前に向かって投げます。横から投げたり、頭の横から投げると反則です。

③ フィールドに正対する

体の正面がフィールドの方向を向いていなければなりません。体をひねって横向きのまま投げると反則になります。

④ 両足が地面についている

投げる瞬間、両足が地面に接地していなければなりません。ジャンプした状態や片膝をついた状態は反則です。ただし、両足を揃える必要はなく、前後にずれていても問題ありません。

⑤ タッチラインの上か外から投げる

投げる際、両足はタッチライン上か外側になければなりません。片足でもフィールドの中に入っていると反則です。


よくあるファウルスローの例

反則の種類内容
片手投げ片手しか使っていない
サイドスロー横から投げている
ジャンプスロー足が地面から離れている
フィールド内から投げる片足がフィールドの中に入っている
方向違反体がフィールドに正対していない

スポ少の試合でも、ファウルスローは頻繁に見られます。特に多いのが「片足がラインの内側に入っている」ケースです。本人も気づいていないことが多く、繰り返し修正が必要です。


スローインの特別なルール

オフサイドが適用されない

スローインから直接ボールを受けた場合、オフサイドは適用されません。これはゴールキック・コーナーキックも同様です。

ただし、スローインを受けた後の二人目・三人目のプレーからはオフサイドが適用されます。(出典:IFAB競技規則 Laws of the Game 第11条)

スローインから直接ゴールはできない

スローインを直接相手ゴールに投げ入れても、ゴールとは認められません。相手ゴールに入った場合はゴールキック、自陣ゴールに入った場合はコーナーキックで再開します。誰かに触れてからゴールになった場合は得点が認められます。

投げた選手はすぐに再び触れられない

スローインを投げた選手は、ボールが他の選手に触れるまで再びボールに触れることができません。触れた場合は間接フリーキックとなります。

GKはスローインを手で受けられない

味方のスローインをGKが手で受けると間接フリーキックになります。足で受ける必要があります。

相手選手は2メートル以上離れる

スローインを投げる選手から2メートル(約2ヤード)以上離れなければなりません。距離を詰めて妨害すると反則となり、場合によってはイエローカードが出ることもあります。


ロングスローという戦術

スローインを武器にする「ロングスロー」という戦術があります。30メートル以上を手で正確に投げ入れることで、コーナーキックに近いチャンスを作ることができます。

高校サッカーでは毎年、ロングスローを武器にするチームが話題になります。足でのキックよりスピードは落ちますが、ボールに回転がかかりにくく変化しにくい軌道になるため、GKにとって扱いにくい場合があります。

指導者として見ていると、ロングスローは技術としての練習量が必要です。ただ遠くに投げるだけでなく、味方の動きに合わせた精度が重要で、チームとして機能させるには戦術的な準備も欠かせません。


W杯2026から変わったスローインの5秒ルール

どんなルール?

2026年のFIFAワールドカップから、スローインに新しいルールが導入されました。

主審が「意図的に遅らせている」と判断した場合、片手を挙げて5秒のカウントダウンを開始します。5秒以内にスローインを実施できなかった場合、相手チームのスローインに変わります。(出典:IFAB競技規則 Laws of the Game 2026/27年版・JFA公式サイト)

なぜこのルールが生まれたのか

これまでスローインには明確な時間制限がありませんでした。そのため、リードしているチームが意図的にゆっくり時間を使う「時間稼ぎ」が横行していました。

IFABは今大会を機に時間制限を設け、試合のテンポを上げることを目指しています。このルールはW杯2026から先行適用され、Jリーグには2026/27シーズン(2026年8月8日開幕予定)から導入される見込みです。(出典:JFA公式サイト・IFAB公式発表)

観戦のポイント

審判が片手を上げた瞬間がカウントダウンのスタートです。投げる選手が焦る場面、カウントを逃れようとする場面など、これまでになかった緊張感が生まれています。

ブラジルで現地観戦をしていた頃、タッチラインを割るたびにのんびりと構える選手の姿が普通でした。5秒という制限は、プロ選手にとっても大きな意識の変化を求めるものだと感じています。


スローインに関するよくある質問(FAQ)

ファウルスローになったらどうなる?

相手チームのスローインになります。同じ地点から相手が投げ直します。

スローインはGKでも投げられる?

はい。誰が投げても構いません。ただしGKが自分でスローインを投げ、そのまま手でボールを受けることは反則になります。

スローインした後にすぐまたボールを触れる?

触れません。他の選手に当たってからでないと、再び触ることができません。違反した場合は間接フリーキックになります。

スローインの5秒ルールはJリーグでも使われる?

2026年8月以降のJリーグ2026/27シーズンから導入される見込みです(出典:JFA公式サイト)。

アクロバットなスローインは反則?

「ハンドスプリング(前方倒立回転跳び)スロー」はファウルスローになります。投げる瞬間に両足が地面に接地していなければならないためです。


まとめ:スローインを知ると試合の見え方が変わる

スローインは「ただ投げるだけ」ではありません。両手・頭の後ろから・正対・両足接地・ライン上かラインの外から、5つの条件をすべて満たす必要があります。さらに2026年からは5秒ルールも加わりました。

スローインのルールを知ることで、審判がなぜ笛を吹いたのか、なぜ相手ボールになったのかが分かるようになります。試合のテンポや選手の判断の意味も見えてきます。

指導現場で感じるのは、スローインを素早く正確に行えるチームはそれだけで試合のテンポをつかめるということです。地味に見えても、スローインは試合を動かす重要なプレーです。

次の観戦では、スローインの場面で「正しく投げているか」「相手が2メートル離れているか」「審判がカウントしているか」に注目してみてください。今まで流して見ていた場面が、全く違って見えるはずです。

タイトルとURLをコピーしました